ゴースト・ホースは、カリフォルニア州ナパ・ヴァレーのプレミアムワイン生産者です。1999年、ナパで30年以上ワインを造り続けるベテラン、トッド・アンダーソン氏が「米国の究極のワインとは何か」という問いの答えを求め、ゴースト・ホースを創業。翌2000年に最初のワインを手がけました。
世界的に注目を集めたのは2009年12月。ニューヨークで開催されたダブル・ブラインド・テイスティングで、それまでカルトワインの頂点とされていたハーラン・エステート、シェーファー、マヤなどを上回る評価を獲得。一躍、世界で最も話題のワインとなりました。さらに、世界最大級のワイン検索サイト「ワイン・サーチャー」は、2021年7月23日の記事で「カリフォルニア・ナパ・ヴァレーで最も高価なカベルネ・ソーヴィニヨン」としてゴースト・ホースのスペクター カベルネ・ソーヴィニヨンを紹介。その価格は、キング・オブ・カルトと呼ばれるスクリーミング・イーグルを上回る4,200ドルに達しました。
畑はナパ・ヴァレー南東部のクームスヴィル地区に位置し、面積はわずか3.02エーカー。ナパでも冷涼なエリアの一つで、南のサン・パブロ湾から吹き込む霧と海風の影響を受け、ブドウはゆっくりと成熟し、豊かな酸を保ちます。ヴァレーフロアや北部ナパとは異なる個性を持ち、次世代の優良栽培地区として注目されています。カベルネ・ソーヴィニヨンの極上地であり、あのポール・ホブス氏ですら所有を渇望し、熱望の末に手に入れたほどの畑です。その畑を地質学者でもあるトッド氏が分析したところ、約5種類の異なる土壌が存在していることから、それぞれの特性を生かしたワイン造りが行われています。5種類のカベルネ・ソーヴィニヨンを育てる畑の区画ごとに収穫されたブドウは、ひと樽数千ドルする最高級の新樽を贅沢に2度使用するダブルオーク法で醸造。さらに、収穫から樽熟成までの過程で常にテイスティングを実施。トッド氏の豊富な経験と知識に基づいた判断のもと、ワインが仕上げられます。
ゴースト・ホースの赤ワインの上位銘柄には、それぞれ特別な名前が与えられています。年間生産量は極めて少なく、カベルネ・ソーヴィニヨンはわずか1,000~1,500本、シャルドネは約300本のみ。すべて完全手作業で造られるため、大量生産は不可能です。その希少性の高さから世界の富裕層が熱望する“裏カルトワイン”と称され、R・パーカー氏をはじめとする著名評論家の試飲すら許されていません。点数評価とは無縁の孤高の存在です。