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ファーストビュー

「我1級なりぬ、かつて2級なりき、
されどムートンは不変なり」

3つの1級シャトーを抱え、メドックの宝石と呼ばれるポイヤックに本拠を置く、格付け1級「シャトー・ムートン・ロートシルト」は、ボルドーを代表する偉大なシャトーのひとつであることは推して知るべしです。華やかなスタイルで知られ、グラン・ヴァンのラベルは毎年異なるアーティストによってデザインされています。

「シャトー・ムートン・ロートシルト」は、1853年、ナサニエル・ド・ロートシルト男爵が「シャトー・ブラーヌ・ムートン」をオークションで落札し、自身の名前を入れてシャトー名を改名し設立されました。購入当初、シャトーの畑は荒れ果てた状態で、ナポレオンの法令に基づいて1855年に初めて行われたメドックの格付けにおいて、2級に格付けされてしまいました。

これに奮起したナサニエル男爵は、1級昇格を実現させるために、ブドウ栽培や醸造/熟成方法など豊富な資金をもとに改良を重ねていきました。 「1級にはなれないが2級には甘んじれぬ、ムートンはムートンなり」 これは、2級に格付けされた際、ナサニエル男爵が残した有名な言葉です。

数々の偉業を達成
「フィリップ・ロートシルト男爵」がボルドーを変える

1級昇格を目指すムートンの品質と評判を一変させ、その地位を確立させたのは、1922年に経営を引き継いだナサニエル男爵の曾孫にあたるフィリップ・ド・ロートシルト男爵です。就任以降、男爵が取り入れた革新的な手法や技術は、1920年代のボルドーでは過激とみなされていましたが、今日では、そのほとんどを取り入れて、ワイン造りが実践されています。

就任の2年後、それまでネゴシアンに樽で納品していたワインを、すべてシャトーで瓶詰めすることを提唱しました。ネゴシアンに樽を輸送する間に、品質劣化や他のワインとブレンドされたりする可能性なども懸念されていましたが、これによって、ムートン・ロートシルトから販売するワインの品質などを完全に管理できるようになったのです。現在では、至極当然行われているシャトー元詰めも、ネゴシアン中心の当時のボルドーでは非常に珍しい手法でした。

シャトー元詰めを行うようになり、今まで以上に広い貯蔵スペースが必要となったため、1926年には、有名な全長100mを超える壮大な貯蔵庫が建てられました。1855年の格付けが始まって以来、一度も格付けの改正が行われていないにもかかわらず、フィリップ男爵は、「このワインは、格付け1級に値する価値がある」と強く信じて、1級昇格を目指し精力的に活動を続けていきました。その結果、1973年、ついに「シャトー・ムートン・ロートシルト」は、念願の格付け1級に昇格したのです。

わずか20歳でシャトーを引継いだ若者が、シャトーに様々な変革をもたらし、品質向上に尽力し、今日のムートン・ロートシルトの繁栄の礎となったことは明白です。

1973年ヴィンテージのピカソのラベルには、「我1級なりぬ、かつて2級なりき、されどムートンは不変なり」という文句が刻まれています。

ムートン・ロートシルトの品質と評判を一変させる
先見性のある改革

フィリップ男爵は、先に述べた功績の他に、ボルドー業界にとってもうひとつの重要な革新を起こしました。「ムートン・カデ」というブランドワインを始めて誕生させたのです。

これは、1930年代初頭の、3度の極度の不作を受けて、「シャトー・ムートン・ロートシルト」の名前ではリリースできない苦境から生まれたアイデアでした。これは、今でいうところの「選別」の発想で、「ムートン・ロートシルト」の格落ちブドウで造られたワインということを世に知らしめたのです。

男爵自身、一族の末っ子(フランス語で「カデ」)で、このワインもムートン直系のワインであることから「ムートン・カデ」と名付けられました。手ごろな価格で入手できる美味しいこのワインは、当時大ヒットし今では世界中で愛されるワインとなっています。

豪華アーティストが描く
稀代のアートラベル

フィリップ男爵がシャトー元詰めを開始した年に、キュビズム画家のジャン・カルリュに依頼して、1924年ヴィンテージのラベルデザインを初めて依頼しました。

その後、このアートラベルがシリーズ化されるのは1945年以降で、毎年、著名な画家や彫刻家らにラベルデザインを依頼してきました。ダリ、ミロ、シャガール、ピカソ、アンディ・ウォーホルといった名だたる芸術家によって描かれた数々のアートラベルが、ムートン・ロートシルトの上質なワインを彩っており、ワイン愛好だけでなく、世界中のコレクターが好む本物の芸術品へと昇華させているのです。

豪華アーティストが描く稀代のアートラベル

閉鎖的なボルドーの
伝統を変革した新世代

伝統ある1級シャトーにおいては、1つのことを変えるには時間がかかるものですが、2002年、「ブラネール・デュクリュ」の醸造責任者だったフィリップ・ダルーアンが、ヘッドハンティングされ、2004年からシャトーワインの技術責任者を務めるようになってから、シャトーのレベルは一段上がりました。

彼は、格付けシャトーのムートン、ダルマイヤック、クレール・ミロンとアルマヴィーヴァ、オーパスワンに仕事を限定し、ブドウの植替え、醸造設備の刷新など意欲的に修復プロジェクトを遂行し、ヴィンテージによるムラがあったムートンの品質と名声を一気に高めました。選別が緩やかで、品質にムラのあった問題を解消し、わずか数年で、ムートンは他の第一級格付けのワインに追いついたのです。

2020年12月、彼は引退しますが、後任にはクレール・ミロンで10年間にわたりディレクターを務めた経験と実績を持つジャン・エマニュエル・ダンジョワが就任しています。盤石の体制で引き続き、シャトーの特徴である「エキゾチックで力強いアロマと、豊かな味わい、印象的な余韻の長さを備えた華やかなワインを生み出しています。

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