トラペ・ペール・エ・フィスは、コート・ド・ニュイを代表するドメーヌのひとつであり、フランスで最も権威あるワイン誌「メイユール・ヴァン・ド・フランス」で最高評価の3つ星を獲得する数少ない生産者です。かつては創業者の名を冠した「ドメーヌ・ルイ・トラペ」として知られていましたが、1993年の家族内での畑の分割を機に、現在の名称へと改められました。
畑は、3つの特級畑と2つの1級畑を含む13.5haを所有し、1996年からはビオディナミ農法を取り入れ、化学肥料や除草剤を一切用いずに栽培が行われています。ブドウはギュイヨ・サンプルで育てられ、春先には厳格な芽かきを実施。健全な収量を確保しつつ、凝縮感のある果実を育てています。区画には高樹齢のブドウ木が多く、1haあたりの植樹数は12,000株以下に抑えられ、収穫量を制限することで品質を高めています。収穫はすべて手作業で行われ、畑での選果に加え、醸造所においても除梗前後にそれぞれ厳格なチェックを受けます。この作業は約15名のスタッフによって丁寧に行われ、選び抜かれた果実だけがワインとなります。
当主ジャン=ルイ・トラペ氏は、穏やかな人柄で知られる一方、畑や自然に対しては並々ならぬ情熱を持ち、「健やかなブドウが育つ環境を整えることが何より大切で、畑仕事と選果がしっかりしていれば、ブドウが自ら良いワインに向かってくれる」と語ります。自然との共生を大切にしながら、伝統と革新をバランスよく取り入れるその姿勢は、ブルゴーニュの精神そのものと言えるでしょう。