シャトーラグランジュは、ボルドーの銘醸地サン・ジュリアンに広がる名門シャトーのひとつであり、その歴史は中世にまで遡ります。1855年のパリ万国博覧会に際して制定されたメドック格付けにおいて第3級に選出され、ボルドーの伝統と格を体現する存在として知られてきました。しかし20世紀に入ると経営難や畑の荒廃により往年の名声を失い、長らく低迷の時期を迎えます。そんなラグランジュに大きな転機が訪れたのは1983年。日本のサントリーがシャトーを買収し、徹底した再生プロジェクトに着手したのです。
ブドウ畑の大規模な植え替えやセラー設備の刷新、徹底した品質管理が行われ、醸造チームにはボルドー最高峰の人材を招聘。ブドウ本来のポテンシャルを最大限に引き出す醸造が実現されました。その結果、ラグランジュは短期間で目覚ましい復活を遂げ、再びクラシック・ボルドーを代表する存在として国際的評価を獲得するに至りました。