ペサック=レオニャンの森に佇む、ドメーヌ・ド・シュヴァリエ。名前にある「シュヴァリエ」は「騎士」を意味し、この地がかつてスペインの巡礼地サンティアゴ・デ・コンポステーラへと向かう道途中にあり、そこを守護した騎士たちに由来すると伝えられています。17世紀の記録には、すでにこの地にブドウ畑や醸造施設が存在していたことが確認されています。
1865年から1983年までの約120年はリカー家が所有し、5世代に渡り受け継がれました。2代目のジャン・リカー氏はこの土地の可能性を見抜き畑を拡張、3代目のガブリエル・ボーマルタン氏はシャトーの名を世界へ広め、グラーヴ地区の名高い生産者としての地位を確立。1881年のボルドー・エ・セ・ヴァン誌では、このワインの魅力は畑に由来し、そこから生まれる色合いの美しさが称賛されています。
1948年から当主を務めた5代目クロード・リカー氏は、35年にわたり指揮を執り、多くの改革を実施。収穫ブドウの厳格な選別や最新設備の導入を行い、1957年には赤ワインにマロラクティック発酵を採用。さらにボルドー大学のエミール・ペイノー教授と協力し、白ワインの品質向上にも取り組みました。
その後、1983年に蒸留酒メーカーを営むベルナール家がドメーヌを買収。責任者となったオリヴィエ・ベルナール氏は、クロード・リカー氏と共にワイン造りを行い、自然を尊重した栽培と醸造を実践。「何もしないことは、何かをすること以上に難しい。自然を信じれば、果実はしなやかでエレガントに実る」と語り、ナチュラルなスタイルを大切にしています。
赤・白共にグラーヴ地区のグラン・クリュとして格付けされており、良年の赤ワインは深い色、並外れたフィネス、アロマの複雑さ、バランスを持ち、シャトー・オー・ブリオン、シャトー・ラ・ミッション・オー・ブリオンに次ぐ高い評価を受けています。また、所有畑のうち35haが赤ワイン、4.5haが白ワイン用、生産量では赤が12万本、白が1万8千本であることから分かるように、白ワインは非常に希少。しかも、ボルドーを代表する白ワインと評価されるほどの高い評価を持つ逸品です。