ジュヴレ・シャンベルタンとシャンボール・ミュジニィの間に位置するモレ・サン・ドニ村に本拠を構える生産者。"コート・ド・ニュイの宝石"とも称される特級畑「クロ・デ・ランブレイ」を所有することでも知られています。また、その畑の面積のうち99%以上を保有することから、事実上のモノポール(単独所有)といえる稀有な存在です。
「クロ・デ・ランブレイ」の名は1365年のシトー会修道院の文書にも記され、400年以上にわたり修道士によって守られてきました。フランス革命後に74区画へ細分化されましたが、土地の買い戻しを経て1868年にロディエ家によって統合されます。その後低迷期を迎えるも、1979年にオーナーとなったサイエ家が畑と醸造の抜本的な改革に着手。INAO(国立原産地名称研究所)の技術部門で経験を積んだティエリー・ブルーアン氏を醸造長に迎え、体系的な改革を実施しました。その成果として、1981年にはAOC法施行後、ブルゴーニュ史上初の一級から特級への昇格という快挙を成し遂げています。
1996年以降はフレウント家がさらなる改革を推進し、ドメーヌはかつての名声を取り戻しました。2014年にLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)の傘下に入って以降も、オーガニック栽培やビオディナミ農法の導入、区画の細分化による精緻な栽培管理など、畑の個性を最大限に引き出す取り組みを継続。長い歴史に培われた技術と哲学を礎に、ブルゴーニュの伝統を受け継ぎながらさらなる躍進を続けています。