シャブリの大御所ラヴノー、ドーヴィサに続き、トップレンジに名を連ねる存在となりつつある注目のドメーヌ。2004年にステファン・モロー・ノーデが引き継いで以来、品質は飛躍的に向上し、アリス・エ・オリヴィエ・ド・ムール、パトリック・ピウズと並んで「シャブリ・ニュージェネレーション御三家」の一角として注目を集めるようになりました。
しかし2016年、ステファンが急逝。妻ヴィルジニがドメーヌを継承しました。直後は将来を案じる声もありましたが、欧米での評価は揺らぐことなく、醸造チームの結束は一層強固に。細部にわたるこだわりも磨かれ、2019年版『ギド・デ・メイユール・ヴァン・ド・フランス』では「弛まぬ努力は昇格に値する」と評され、二つ星へと格上げされました。
栽培面積は22ha。プティ・シャブリや村名シャブリに加え、一級ラ・フォレ、モンマン、ヴァイヨン、モンテ・ド・トネール(シャプロ)、そして特級ヴァルミュールまで多彩な区画に広がります。多くが樹齢50年以上で、ドーヴィサやラヴノーのリューディに隣接する区画も含まれています。畑は有機栽培で耕され、シャブリでは珍しく全区画で手摘みを実施。収量を抑えることで土地の個性を際立たせ、厳しい選果によって半分以上のブドウをネゴシアンに回し、最良の果実のみを自社瓶詰めに使用します。醸造においても同様の哲学が貫かれており、産業化以前の伝統的手法を踏襲。ヴァンサン・ドーヴィサの影響を受けつつ、畑の耕耘、有機栽培、手摘み収穫、全粒圧搾、野生酵母発酵、自然清澄、長期かつ緩やかな樽熟成といった、可能な限り自然なアプローチを徹底しています。
こうして生まれるワインは、ピュアな果実味とテロワール由来のミネラル感に、深い構造と複雑性を兼ね備えた唯一無二の個性を放ちます。モロー・ノーデのワインは、シャブリが「痩せてつまらない」という先入観を覆し、コート・ドール最高峰の白ワインに比肩し得る質感と魅力を備えているのです。
■ラベルについて
人の手仕事と大地の結びつきを象徴する「ブドウを摘む手と土」が描かれています。これはディディエ・ダグノーの助言により採用されたデザインで、ドメーヌの哲学を視覚的に表現しています。