「クロ・ド・タール」は、モレ・サン・ドニの南側、シャンボール・ミュジニー寄りに位置しています。約900年の歴史の中で所有者は4者のみという稀有な畑で、1141年にタール修道院が単独所有を開始したことが名前の由来。2018年からはシャトー・ラトゥールのオーナーでもあるピノー一族が所有。分割の歴史を持たない単一畑として、グラン・クリュの中でも際立つ存在です。
石塀に囲まれた7.53haの畑には、平均樹齢60年、一部は100年超の古樹が植えられています。土壌は6タイプに分かれ、その複雑な構成がワインに奥行きと複雑味をもたらします。2016年からビオディナミ農法を導入し、2019年に認証を取得。ブドウは16区画の特性に合わせて収穫し、仕立てられます。さらに、各区画の個性をより的確に表現するため、ボルドー大学との共同研究により区画マップを整備。2019年に新設された醸造施設で、精度の高いワイン造りが行われています。現在は、シャトー・ラトゥールやドメーヌ・デュージェニーなどで経験を積んだアレッサンドロ氏が栽培醸造責任者を務め、ドメーヌの刷新を進めています。
こうした取り組みにより品質は近年大きく向上。2016年ヴィンテージはワイン・アドヴォケイトで「香りのニュアンスと新鮮さが増し、テロワール表現がさらに高まった」と高く評価されました。凝縮した果実味と繊細なタンニン、圧倒的な余韻と構造、複雑味を備えたクロ・ド・タールは、まさに偉大なグラン・クリュです。