1880年、初代フランソワ・トロ氏がショレイ・レ・ボーヌ村にブドウを植えたことから始まった、歴史あるドメーヌです。2代目アレクサンドル氏の妻「ボー」家の姓と合わせて「トロ・ボー」の名が誕生しました。ブルゴーニュでも早い時期からドメーヌ元詰めに取り組んだ、先駆的な存在でもあります。
ショレイ・レ・ボーヌをはじめ、アロース・コルトン、ボーヌ、サヴィニー・レ・ボーヌに計24haの畑を所有。特にコルトンの丘には「コルトン・ブレッサンド」「コルトン・シャルルマーニュ」、クリマ名のない「コルトン(コルトン・コンブ由来)」といった特級畑を有し、村を代表する造り手として知られています。
ドメーヌが手掛けるワインは果実味が豊かでタンニンが丸く、熟成を経て複雑さが増す、力強くもエレガントなスタイルが魅力。ヴィンテージごとのブレも少なく、安定した品質と洗練された親しみやすさで、ミシュラン星付きレストランを含む多くの場で高く評価されています。
ワイン造りで最も重視するのは「畑仕事」で、ACブルゴーニュからグラン・クリュに至るまで、全ての畑を同様に丁寧に管理。フィロキセラ禍後、馬による耕作に適した植樹密度に見直したことで、ブドウは地中深くまで根を張るようになり、テロワールを忠実に反映した健全な果実が育つように。リュット・レゾネを実践し、日当たりや風通しを確保する樹冠管理、病害を防ぐための全樹チェックなど、緻密な作業を惜しみません。収穫は手摘み、醸造は伝統的手法を用い、新樽率はACブルゴーニュと村名で20~30%、グラン・クリュで約50%に抑え、果実味を尊重。16~18カ月の樽熟成を経て瓶詰めされ、ピュアな果実味とテロワールが繊細に表現された、優美で雑味のない味わいに仕上がります。
革新にも積極的で、1999年ヴィンテージから導入された厚みのあるオリジナルボトルは、コルクとの密着性を高め、熟成に適した形状を実現。2014年には光学式選果機や、重力を活用して種を潰さずに除梗できる新機械も導入。現在は3代目兄弟の子どもたち、ジャン・ポール(アンヌ・グロの夫)、オリヴィエ、ナタリーが運営を担い、伝統を守りながら進化を続けています。