シャトー・ベルリケは1768年創設の歴史あるシャトーで、サン・テミリオンで初めてシャトー名を冠してワインを販売したことで知られています。1794年にはその品質が記録され、1829年にはサン・テミリオンの5つの偉大なグラン・クリュの1つとして名声を得て、1986年にはサン・テミリオン格付け特別級に格上げされました。
1997年までは協同組合が生産を管理していましたが、同年からシャトー・パヴィの前オーナー、ジャン・ポール・ヴァレットの息子であるパトリック・ヴァレット氏とパトリック・ド・レスカン氏が醸造を担当し、品質が飛躍的に向上。その後、パトリック・レスカン氏とジェローム・ド・レスカン氏が畑の植え替えや設備刷新などの改革を進め、名声をさらに高めました。
2017年、シャネルのオーナーであるヴェルテメール兄弟が、シャトー・カノンやシャトー・ローザン・セグラに続き、ベルリケを買収。翌2018年ヴィンテージからは、カノンとローザン・セグラの総支配人を務めるニコラ・オーデベールがベルリケの支配人に就任しました。オーデベールは、ボルドーの新世代を代表する醸造家のひとりとして知られ、ベルリケの品質向上に尽力。石灰岩台地の個性を活かしたワイン造りに注力し、ベルリケを「サン・テミリオンの中心にある宝石」と表現しています。なお、ベルリケはシャトー・カノンに統合されることなく、独立した運営を継続。これは、オーデベール氏が、前任者であるステファン・ドゥルノンクール氏とニコラ・ティエンポン氏の功績を尊重し、その精神を継承したことの表れだといえます。
シャトーが位置するのはサン・テミリオン村のすぐ外、シャトー・アンジェリュスやシャトー・カノンといった名門シャトーに隣接する石灰岩台地に位置。日照に恵まれた9haの畑ではメルローとカベルネ・フランを栽培しており、粘土質や石灰質など多様な土壌が、ワインに複雑な表情をもたらしています。