シャトー・フルール・カルディナルは、ドミニク&フローレンス夫妻が2001年に取得した、サン・テミリオンに位置するシャトーです。もともと高級陶磁器業を営んでいた夫妻は、コンサルタントにシャトー・ヴァランドローのオーナーであるジャン・リュック・テュヌヴァン氏を、そして醸造にはミシェル・ロラン・チームの醸造家を迎えて、ワイン業界に参入しました。シャトー名は、1975年にオベシエ家が購入した際の2頭の愛馬「フルール」と「カルディナル」に由来しています。
シャトー取得後は畑と施設を全面的に刷新し、その安定した品質が高く評価され、2006
年のサン・テミリオン格付改定でグラン・クリュ・クラッセに昇格。2017年には息子夫婦が家業を継承し、新たな感性を注いでいます。
畑はヴァランドローやロル・バランタンに隣接する恵まれた立地にあり、石灰岩と粘土が重なる冷涼な区画に23.5haを所有。かつてミシェル・ロランも自身のワイン造りのために望んだと言われている注目の区画です。この畑では、メルローを中心に、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培。加えて、白ワイン用の2ha区画もあり、2021年に初ヴィンテージをリリースしています。古木が多く、メルローには70年超の樹齢も。現在は密植率を上げる取り組みも進行中です。
有機栽培にも注力しており、2024年には100%オーガニック認証を取得。区画ごとの醸造を可能にするため、小型ステンレスタンク25基を導入し、熟成にはフレンチオークの新樽をキュヴェによって約90~100%の割合で使用。一部のキュヴェではアンフォラや樽を使った実験的な熟成も行っています。年間生産量はおよそ5,000ケース。2009年ヴィンテージはパーカー94点を獲得し、2008年ヴィンテージはリアルワインガイドにて「2011年のベストワイン」ボルドー部門第1位に選出されるなど、注目度の高いシャトーです。