ラルマンディエ・ベルニエは、コート・ド・ブラン南部ヴェルテュに拠点を構える、家族経営のレコルタン・マニュピュランです。現当主ピエール・ラルマンディエが1988年からドメーヌを率い、RM生産者の中でも屈指の実力を誇ります。メイユール・ヴァン・ド・フランス2025では2ツ星を獲得し、ジャック・セロスのアンセルム・セロスからもワイン造りにおいて「素晴らしいシャンパンメーカー」と称されるなど、高い評価を受けています。
所有畑は18haに及び、ヴェルテュを中心に、クラマン、アヴィーズ、オジェといったグラン・クリュにも広がります。栽培比率はシャルドネ90%、ピノ・ノワール10%。平均樹齢は約35年ですが、なかには樹齢80年を超える古木も存在します。収穫はすべて手摘みで行い、空圧式圧搾機で搾汁後、19℃に管理された環境下で区画ごとにステンレスタンクまたは木樽で発酵。澱とともに冬を越し、瓶詰め後は3~8年間の熟成を経ます。「辛くとも喜びに満ちたワイン造りの道を選ぶ」というピエールの信念が、こうした丁寧なプロセスに息づいています。
1992年に除草剤の使用を中止し、1999年から全区画をビオディナミに転換。2003年には認証を取得し、現在では自生酵母による自然発酵、無濾過・無清澄といった、極力人為的介入を抑えた醸造を実践しています。「はじめに土と葡萄ありき」という哲学のもと、モンターニュ・ド・ランスからコート・デ・ブランに広がるカンパニア期の石灰粘土質土壌の個性を、ワインに映し出すことを追求しています。
また、ビオディナミ調合剤の自動散布にはドローンを導入し、動瓶(ルミアージュ)も機械で実施。結果に影響のない工程を効率化し、そのぶん人にしかできない作業に注力するという合理的な姿勢も、シャンパーニュのトップクラスと評価される理由のひとつです。この革新的な取り組みは、息子のアルテュールとジョルジュにも受け継がれ、さらなる進化を遂げています。